活動報告

2016.11.23開催

看護師向けセミナー「乳がん患者のセルフケア」
パネルディスカッション(Q&A)での質問集

 先だって開催した看護師向けセミナー「乳がん患者のセルフケア」で行われたパネルディスカッションにおいて、参加された看護師の方々からいただいた質問から、看護師の方々だけでなく、患者さまにとっても、有意義な情報をご紹介します。ぜひご閲覧ください。

【 回 答 者 】
渋谷和代氏 大阪府立成人病センター(現大阪国際がんセンター)乳がん看護認定看護師
吉野知子氏 八尾市立病院 乳がん看護認定看護師
岡田珠美氏 大手前病院 がん放射線療法認定看護師
川崎陽子 グンゼ株式会社 研究開発部 研究員
(以下:渋谷さん、吉野さん、岡田さん、川崎で記載します)

放射線治療後のフォローはどのようにおこなっていますか。

主治医の診察以外にも、放射線の医師や認定看護師がフォローされているのでしょうか。また終了後の患者さんに、実際にあったケースなど教えて下さい。

基本的に皮膚炎・粘膜炎は治療終了後に、1週間後・2週間後・1ヵ月後で経過を見ています。
(回答者 岡田さん)

皮膚の表皮剥離の症状について確認しています。軟膏が適切に塗られているか、ステロイド剤を処方したりします。多くは急性期の症状は、2~3週間で症状が和らいでいき、皮膚炎はほぼ1ヶ月で治ります。粘膜炎はもう少し時間がかかる場合もあります。(1~2ヶ月)有害事象で生じる皮膚炎や粘膜炎になった患者さんには、1~2ヶ月間のフォローアップを続けています。また、困ったときの電話対応や相談も行っています。治療後、2年を経過した患者さんでも、生活上のことなどを含めて、放射線治療後の相談で電話がかかってくることもあります。

手術後、どのくらいまで下着の配慮をした方がよいですか。

(回答者 吉野さん)

放射線療法をせず温存手術した方の場合、乳房がきれいに残るとお思いの方もたくさんいると思いますが、実際にはしこりが1~1.5cmでも、まわりも一緒に切除するので、乳房が変形したりすることがあります。そういう方の中には、補正下着を使用して、ずっと使う方もいらっしゃいます。また再建の方であれば、インプラントと入れ替えて、傷の痛みがなければ、ワイヤー入りでも、元々使っていた下着でも使ってくださいと指導することもあります。

(回答者 岡田さん)

放射線治療後は、3ヶ月間はワイヤーなしのブラジャーなど、下着に配慮するように伝えています。その後は、皮膚の状態を確認しながら元に戻してもいいかと思いますが、皮膚の戻りに応じて、半年とみることもあります。罹患年齢の若年化もあり、仕事を続けている方も多いので、柔軟に対応しますが、変化があれば、また治療中のものに戻してもらうこともあります。

手術療法や放射線療法を受ける患者さんに、皮膚の問題や下着、スキンケアのアドバイスをわかりやすくしたいと考えていますが、現場ではどのような取り組みをされていますか。

(回答者 渋谷さん)

治療を受ける前の患者さんが、どういう状況なのか、患者さんが何を一番気がかりにされているかということから、始めています。一度に多くの情報を伝えても患者さんも混乱してしまいます。まずは「今、何がすごく気になっているのか」をお聞きして、それに関連する情報を提供します。そしてそれが1回で終わるのか、継続していくかは、患者さんによるので、私たちもその点を十分に考慮したうえで、判断していく必要があると思います。

下着ではないのですが、脱毛中は帽子をかぶっている方がよいのですか。

(回答者 川崎さん)

頭髪は、頭皮を刺激から守ってくれる緩衝材のような役割を果たしていますが、脱毛すると緩衝材がなくなる状態になりますから、頭皮保護のためには、被った方がよいと思います。また頭皮は汗をよくかく部位ですから、吸汗性の高い素材で、汗処理をすることも可能です。またアピアランス(外見)ケアの観点や、頭髪が抜けた時の心理的なショックを緩和するメリットもあると考えています。

(回答者 渋谷さん)

脱毛し始めると、チクチクすることがあります。また頭髪が抜け始めると室内などに落下する毛髪の処理に困る方や、対応に時間がかかることも患者さんの負担になります。

どの時期から下着のことを考えればよいですか。また下着の相談は外来で受けた方がよいですか。

(回答者 川崎さん)

成人病センターの患者さんから伺った話ですが、手術を受けるまでは、手術のことだけで頭が一杯で、先のことまで考える余裕がなかったので、手術の翌日まで、今までの下着が使えないということに気がついたそうです。可能であれば、手術が決まった時点で、準備した方がよいかもしれません。

(回答者 渋谷さん)

はじめに準備できればよいのですが、下着の話ができるかどうかは、患者さんの状態によります。一応入院時には下着のことは説明します。下着のことを外来で相談される方もいるので、そういう方には積極的に下着に触れたり、再建の話を説明したり、いずれにしても患者さんの状態をみて対応しています。もちろん、一番よいのは、手術前に準備できるとことなんですが。

(回答者 吉野さん)

当院では、術前説明という時間を設けています。その時に、肌にやさしい下着を2枚買ってきてくださいとお願いしています。また手術後からは前開きを使用してもらうので、事前に用意していただいています。色はピンクがかわいいのですが、放射線照射を考えると、マジックが写りにくい黒の方がよいということも、事前にお伝えしています。手術後、傷の状態が落ち着くまで、2~3ヶ月は使用を続けてもらっています。補正下着のことも説明して、傷も落ち着いて2~3ヵ月後には補正下着もお使いいただけますよと説明しています。入院時、退院時には看護師も介入して、下着のことをフォローしています。

リンパ郭清後、どのくらいの時期まで、ワイヤーなしのブラジャーがよいですか。

(回答者 渋谷さん)

リンパ郭清後でも痛みがなければ、ワイヤー入りでも大丈夫です。ただ食い込む下着とかは、リンパ浮腫に影響する可能性があるので、できるだけアンダーバストを締めつけないものをおすすめしています。手術後すぐに使うと、傷に当たって痛いとか、擦れて痛いとかあるので、すぐに痛みがでることがありますよと説明していますが、患者さんが着けても問題なければ、いいですよと話しています。

乳がん手術後のリンパ浮腫のセルフケアについて教えて下さい。

(回答者 吉野さん)

リンパ浮腫を発症されている方であれば、セルフトレナージというマッサージ方法を指導して圧迫療法となるスリーブの着用になります。ただマッサージはいろいろな議論があり、続けていくうちに患者さんが我流になり、逆に悪化させてしまったり、スリーブを正しく着用できずに食い込んで、むくみが強くなったりすることがあります。患者さんには正しい指導をしながら、こちらも定期的な介入が必要かと思います。

(回答者 渋谷さん)

治療をしたら、もうセルフケアをしなくてもいいという方がいらっしゃるのですが、セルフケアは続けていく必要があるので、そこを間違えないようにしなくてはいけません。早い時期から始めると、自然に治っている、落ち着いてきた方も何名かいらっしゃいますので、セルフケアをして、締めつけないことやスキンケアが大切になります。簡単な方法としては、肩回しなどは、脇のリンパ節や鎖骨を動かせるので、実施してもらったりまた腹式呼吸でお腹の中のリンパ節を活性化させてくれるという働きもあります。ただ治療は血栓があるかどうか確認しておかないといけませんので、その後に治療しています。サイズの合わないスリーブを着けていると、症状が悪化してスリーブを着用しない方がよい時期もありますので、事前に確認をして下さい。

刺激物の食品は、粘膜炎が出現する場合には避ける必要があると思いますが、皮膚炎の場合にも避けたほうがよいのでしょうか。

(回答者 渋谷さん)

香辛料などの刺激が強いと痒みを感じる人がいるので、そうした場合には、少し避けることや、制限してもらった方がよいことがあります。

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