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アデランス病院内ヘアサロン「こもれび」×「メディキュア」取材レポート

第2回「美容室こもれび」静岡県立静岡がんセンター店

声に耳を傾け、心に寄り添って。患者さまの笑顔が力に。

2020年2月19日

声に耳を傾け、心に寄り添って。患者さまの笑顔が力に。

取材にご協力いただいた「美容室こもれび」静岡県立静岡がんセンター店 三森妙子店長。

総合毛髪関連企業のトップランナー、株式会社アデランスは国内に32店舗(2020年1月末日時)の病院内ヘアサロンを直営展開しています。その一つ「美容室こもれび」静岡県立静岡がんセンター店は、2002年に1号店としてスタート。ヘアサロンメニューやウィッグに加え、最近ではメディキュアの商品も取り扱っています。長年築いてきた患者さまや病院との信頼関係、患者さまからの貴重なお声など、草分け的存在ならではの苦労秘話をご紹介します。

病院内「美容室こもれび」1号店を全国に先駆けてオープン。

今でこそ、病院に美容室がある光景は珍しくありませんが、20年近く前まで病院内に女性が気軽に利用できる「美容室」はほとんどありませんでした。病院にあるのは「理髪店(理容所)」が中心。「ヘアサロンメニューとウィッグの相談を両方できる美容室を」と、静岡県立静岡がんセンターから依頼を受け、2002年、日本では画期的な病院内「美容室こもれび」1号店が誕生しました。「患者さまの目線に立ってQOLの向上に取り組み、アピアランスケア(外見支援)を尊重する病院ですから、先見性のあるご相談をいただいたのだと思います」と話すのは、三森 妙子店長。
1号店は、病院にとってもアデランス社にとっても初の挑戦でした。「創業者の根本信男は、弊社が磨いてきた理美容の技術を通して社会に貢献できることはないか、と模索しているところでした。そんな想いが病院の理念と響き合い、喜んで出店させていただいたと聞いています」と、三森さん。1階エレベーター前という好立地に広いスペースを提供されたことも、「治療と向き合う患者さまが、自信をもって前向きに毎日を過ごせるようサポートしたいと願う病院サイドの熱意が感じられます。

お店の入口にはウィッグのディスプレイとともに、メディキュアの手づくりポスターも。

お店の入口にはウィッグのディスプレイとともに、メディキュアの手づくりポスターも。

患者さまとともに悩みながら、言葉選びや接し方を教わる日々。

三森店長は「美容室こもれび」で16年のキャリアを積んできたベテランですが、入社当時は苦労の連続。美容師としての経験や技術に自信はあっても、患者さまへの接し方は手探り状態でした。気遣いたい気持ちはあるものの、「治療の影響で脱毛された患者さまを、何気ない言葉で傷つけてしまったら……」と悩み、どう言葉をかけてよいかわからない日々。三森店長は迷った末、「すべては患者さまにお聞きするしかない」と腹をくくったのです。「寝る姿勢でシャンプーする方が楽ですか」「どんなスタイルにされたいですか」「お手入れに不安なことはありませんか」など、患者さまに一つひとつ確認することから始めました。「患者さまと一緒に悩んで、最初の数年間は教えていただくことばかりでした」と振り返ります。
「ご気分は大丈夫ですか?」と繰り返し伺うことで安心される患者さまもいらっしゃる一方で、「患者扱いしないでほしい」と思われる患者さまも。治療による症状、お人柄、その日の体調などを察しながら、一人ひとりに合った接客を模索し続けた三森さん。患者さまとの信頼関係が深くなるにつれて、「今日は気持ちが落ち込んでいらっしゃるようだから、あまり話しかけないでおこう」といった判断もできるようになりました。長年の経験をいかして、スタッフには、患者さまをいたわる言葉を選ぶための具体的なアドバイスを心がけています。

「最初は、患者さまにどうお声かけすればよいか悩みました。今も毎日が勉強です」(三森店長)。

「最初は、患者さまにどうお声かけすればよいか悩みました。今も毎日が勉強です」(三森店長)。

看護師との信頼関係づくりが、患者さまとの新たな出会いに。

「美容室こもれび」には患者さまだけではなく、病院の医療関係者もお客さまとして来られます。治療による髪や肌のトラブルに悩む患者さまは、看護師に相談するケースが多いため、看護師は患者さまと美容室をつなぐ架け橋のような存在。来店された看護師とのご縁をきっかけに、病棟や外来へご挨拶に伺ったり、新しいサービスや商品をご案内したりすることも三森店長の仕事です。「当サロンで低刺激肌着の試着や購入ができるようになったことも、看護師さんを通じて患者さまや他の外来、病棟にも広めていただいています」。
乳がん認定看護師教育機関でもある静岡県立静岡がんセンターはアピアランスケアやセルフケアに力を入れており、看護師やドクターから「『美容室こもれび』は、自分らしさをとり戻す場所」として知られるようになりました。

販売コーナーにはウィッグについてのPOPやメディキュアの情報ツール、病院がつくった啓発冊子も。「悩みを抱える患者さまのために、という想いを持つ企業と病院が連携することで、一人でも多くの患者さまのお役に立つことができれば」

販売コーナーにはウィッグについてのPOPやメディキュアの情報ツール、病院がつくった啓発冊子も。「悩みを抱える患者さまの ために、という想いを持つ企業と病院が連携することで、一人でも多くの患者さまのお役に立つことができれば」

患者さまは「ここ」で安心できるケア用品を選びたい。

「美容室こもれび」では、2017年からメディキュアの肌着を取り扱っています。「ウェブサイトでもウィッグや肌着を購入できますが、患者さまは見て触って、安心できるケア用品を“ここ”で買いたいと思ってくださるんです。髪も肌もデリケートなお悩みですから、気心の知れたスタッフにまとめて相談されたいのではないでしょうか」と、三森店長。
症状や体質、サイズにあったものを納得して買いたいというのが患者さまの本音。安心して試着や相談に来られるのは、「美容室こもれび」に対する信頼があればこそです。「下から穿くタイプのハーフトップは持っているけど、あれじゃダメ?」といった患者さまの質問には、「乳がん治療の場合、腕の上げ下げが難しくなる場合もありますから、楽に着脱できる肌着があると助かりますよ」など、スタッフがわかりやすく説明しています。

「“前開きハーフトップ”が人気ですが、個人的には“ハイウエス
トショーツ”が好き。締めつけ感が少なくて楽だし、冷え予防に
もいいんです」(三森店長)。スタッフは自らの使用体験を交えて
患者さまにご説明するそう。

「“前開きハーフトップ”が人気ですが、個人的には“ハイウエス トショーツ”が好き。締めつけ感が少なくて楽だし、冷え予防に もいいんです」(三森店長)。スタッフは自らの使用体験を交えて 患者さまにご説明するそう。

使ってくださった患者さまの笑顔がスタッフの心の支えに。

長らく「一期一会の心」で接客してきた三森店長ですが、特に想い出に残る患者さまがいらっしゃるのだとか。それは「愛のチャリティ」(ケガや病気が原因でウィッグが必要な4歳から15歳までのお子さまに無償提供する、アデランス社の社会貢献活動)として、ウィッグを提供した中学生の女の子。治療で髪が抜けることは頭で分かっていても、いざ現実となると、帽子を被ってしょんぼりと来店されたそう。似合うウィッグを見立て、丁寧にサイズ合わせをしたところ、「これがあれば学校にも行けるね」と少し笑顔に。1週間に1回シャンプーのために来店され、お母さまも「本当に助かりました」と喜ばれたそうです。

アデランス社が40年以上続けるCSR活動「愛のチャリティ」。直近5年間で1,400名以上のお子さまにウィッグを提供している。

アデランス社が40年以上続けるCSR活動「愛のチャリティ」。直近5年間で1,400名以上のお子さまにウィッグを提供している。

「治療がつらい時期から学校に行けるようになるまで、頑張る姿を見届けさせていただいたんです。“ウィッグのおかげで外に出たくなって、友達とも遊べるようになりました”なんて言われると、胸がジンとしました」と三森店長は微笑みます。「お子さまは自分の気持ちに正直で、嫌だと感じたら使いたがらないこともあります。使ってくれて、元気を取り戻すお手伝いができたことがとてもうれしいですね」。患者さまの「生の声」は、スタッフのやりがいや情熱の源になっています。
患者さまからの声は、いいことだけではありません。「ときにはヘアスタイルやウィッグへのご不満を伺うこともあります。それは真摯に受け止めて誠実にお応えすれば、また来てくださると信じて努力しています。お喜びの声もご意見も、患者さまや看護師さんから生の声が聞けることはとても貴重でありがたいです」(三森店長)。

店内にはヘアドネーションの募金箱や、患者さまのお声をサービスや商品に活かすアンケートを設置。

店内にはヘアドネーションの募金箱や、患者さまのお声をサービスや商品に活かすアンケートを設置。

患者さまの「生の声」に応えて、これからもよりよいものを。

メディキュアは、低刺激性インナーから始まり、医療現場や患者さまから「こんなものがあったらいいな」という声をいただいて、1つずつ商品を開発してきました。「ここにちょうどいいケア用品あってよかった」という患者さまのお声こそ、私たちの喜び。「困っている患者さまのためにできることをしたい」という想いは、私たち2社が分かち合う原点です。「医療」から「衣療」へ。私たちはこれからも、治療と向き合う患者さまに少しでも快適で自分らしい毎日を過ごしていただけるよう、よりよいサービスや商品をお届けしていきます。

「美容室こもれび」店頭にて。三森 妙子店長とスタッフの皆さま、グンゼ株式会社QOL研究所 上島 進、三宅 麻美

「美容室こもれび」店頭にて。三森 妙子店長とスタッフの皆さま、グンゼ株式会社QOL研究所 上島 進、三宅 麻美

アデランス「美容室こもれび」静岡県立静岡がんセンター店

〒411-0934静岡県駿東郡長泉町下長窪1007 1F
直通電話:055-980-6696
営業時間:9:00-18:00(月〜土曜日、祝日営業)
シャンプー、カット、カラーリングという一般美容サービスだけでなく、医療用ウィッグ(かつら)のメーカー問わず、カットやサイズ調整など、ご相談に応じます。

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