もっともっと、メディキュア!

メディキュアレポート Vol.1

女性視点からのスタート、土井先生の乳がん治療を“支える”想い(後編)

2020年3月4日

女性視点からのスタート、土井先生の乳がん治療を“支える”想い(前編)

長年、女性の視点で乳がん治療に携わってこられ、湘南記念病院 乳がんセンターにて「支える治療」を実践されている、センター長の土井卓子先生にお話をお聞きしました。

患者も医療スタッフもチームとなって戦う!

湘南記念病院では2019年、乳がんセンターの一角に治療で通院される患者様のためのケアルームが開設されました。ここでは各メーカーの下着やケア製品などを自由に手に取ることができ、実際にフィッティングも可能です。さらに、こちらではケアルームだけでなく、患者様を支えるためのあらゆる取り組みが行われています。

メディキュア:土井先生が取り組まれてこられた、患者様を支えるための取り組みについて教えてください。

土井先生:私が長年、乳がん治療に携わる中で一番大切にしているのは、患者さんの気持ちに寄り添うことです。ここ湘南記念病院で乳がんセンターを設立するにあたって、目標にした場所がありました。そこは患者さんが乳がん術後用の下着を着用されている姿を見て感動した、アメリカのメモリアル・スローン・ケタリングセンターです。ここは世界でも有数のガンの臨床研究を行う施設で、30年前の私の見学先でした。ここで私は診察室横の奇妙な部屋を見つけます。
患者さんは診察を終えると、その奇妙な部屋に入っていきます。その部屋に入る前にはとても緊張してこわばった顔をした患者さんが、出てくる頃には落ち着いた様子で出てきます。そこは年配のがん体験者が、不安な気持ちになった患者に温かい飲み物とお菓子を振る舞いながら、様々な相談に応じる部屋でした。
私がいまこの乳がんセンターで目指し続けている『支える医療』の原点はこの体験がスタートです。医師は治療のことを第一に考えることが、患者さんにとって一番優先することだと思う傾向にあります。しかし、患者さんにとっては、ガンと告知されたことのショックも大きいのですが、家族、仕事、生活のことなど、これからどうすればよいのかと思う気持ちが大きかったりもします。そこのコミュニケーションエラーを埋めることこそ、患者さんが求めている治療に近づける方法ではないかと考えています。

メディキュア:具体的にこちらでは患者様に対して、どのような対応をされていますでしょうか。

土井先生:一番大切にしているのは、患者さんの気持ちに寄り添うことです。

土井先生:当初私は、患者さんとのコミュニケーションエラーを避けるために、一人で治療の相談から生活のアドバイス、心のサポートなど幅広いケアに努めてきました。しかし、やはり一人では限界があります。そこで私はセンターのスタッフにそれぞれ役割を持ってもらうようにしました。ここでは乳腺外科医のほか腫瘍内科医、病理検査技師、管理栄養士、看護師、放射線技師、エコー技師、薬剤師、そして患者さんを支えるピアサポーター(乳がん体験者の相談員)やカウンセラーを加えたチームで治療にあたっています。私を含め医師は単刀直入に結論を患者さんに説明します。告知の受けとめ方は患者さんによって様々です。例えばショックを受けた患者さんが、必要な説明をしている途中で部屋を出ていってしまった場合、看護師が追いかけ落ち着くまで付添います。場合によってはピアサポーターにバトンタッチをします。ピアサポーターは、自身も乳がんを体験した相談員で、その経験を活かして患者さんの気持ちに寄り添い、その人に合わせてアドバイスを行います。

土井先生:患者さんの気持ちに寄り添い、その人に合わせてアドバイスを行います。

メディキュア:土井先生がアメリカで経験されたメモリアル・スローン・ケタリングセンターのがん体験者のいる相談室と同じですね。

土井先生:はい、まさにそうです。
これらの一連の動きは医師から指示されて行っているのではなく、スタッフ自ら考えて行動しています。診断と治療に関しては、医師が現実面を正直に伝え、的確に行っていきます。その分、メンタルケアや生活に関する指導は看護師にまかせます。私は「看護師は医者の手伝いをしなくていい、あなた方が独自のケアをするために存在しているのだから」と伝えています。今では看護師が自主的に患者さんに役に立つような講習にいって学んでくれたり、管理栄養士や理学療法士を巻き込んだりとケアの輪が広がっていっています。患者さんの気持ちに寄り添ったサポートや、ワクワクさせる取り組みのアイデアがスタッフから自主的に出てくることがここの強みですし、よい循環を生んでいます。

医療従事者と患者のコミュニケーションエラーをなくすための手帳

メディキュア:「ピンクリボン手帳」というものを患者様に発行されているそうですが、これはどういうものなのですか?

土井先生:ピンクリボン手帳は、診察の所見や画像検査、手術後の生活、治療計画など、電子カルテに記載している内容を診察の度に転記しています。また、不安な気持ちや疑問に思ったことなどを患者さん自身で書き込める「私のページ」があります。患者さんに自由に書いてもらっているのですが、もしスタッフに読んでもらいたいページがあれば、それにスタッフが返事を書いたりするという、交換日記的な役割も果たしてくれています。  治療は医師、患者が双方向で納得し進めないとよい結果はでません。ピンクリボン手帳もそのためのひとつのツールですが、看護師をはじめとする乳がんセンターのスタッフ全員の総力戦で、患者さんと一緒に泣いて、笑って治療に邁進するための大切な手帳です。

メディキュア:最後にメディキュアの商品もケアルームに置いていただいていますが、メディキュアについて今後、先生から期待されることなどありますでしょうか。

「ピンクリボン手帳」

土井先生:私がメディキュアで一番気に入っているのは、あのやわらかさと切ってもほつれないという生地です。例えば、放射線治療で水疱ができているときもこの低刺激インナーなら着られるとか、術後の傷が縫い目に当たると擦れて痛むので、縫い目がなく、さらにハサミを入れてもほつれないので自由にカットできる前開きハーフトップとか。そして、私が無理を言ってお願いした、本当にシンプルな縫い目のない筒状のカッティングチューブ。これも切ってもほつれず自由にカットできるため、乳がんの術後に脇の下をサポートしたい時などは腕がでるようにくり抜いてみたり、首から斜めに被せてみたりと、とても重宝しました。
下着メーカーそれぞれに特徴があり、得意分野があって、その役目はそれぞれ違うと思います。その中でもメディキュアは購入しやすい価格帯と柔軟に対応できる老舗のメーカーの開発力という点で、医療分野でも今後おおいに活躍されると期待をしています。

メディキュアは医療分野でも今後おおいに活躍されると期待をしています。
土井卓子(どい たかこ)医師

横浜市立大学医学部卒業、横浜市立大学医学部付属病院で研修後、済生会横浜市南部病院、独立行政法人国立病院機構横浜医療センターなどを経て2009年よりかまくら乳がんセンターを立ち上げる。
医師として一貫して乳腺外科分野で経験を積み、女性の立場から女性のための乳がん治療及び乳腺分野での治療に従事。
湘南記念病院乳がんセンター長として、医師、看護師だけでなく、薬剤師、体験者コーディネーターやリンパ浮腫ケアスタッフを組み込んだ乳がん治療チームの組織、また形成外科と連携した乳房再建などの総合的な乳腺治療を目指す。
横浜市立大学医学部臨床教授、日本外科学会専門医、日本外科学会指導医、日本消化器外科学会認定医、日本消化器病学会専門医、乳腺専門医、マンモグラフィ読影認定医、ICD

湘南記念病院乳がんセンター
http://www.syonankinenhp.or.jp/nyugan

湘南記念病院乳がんセンター